新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

ワシは外山恒一の演説を笑えなかった

先週末の話題をかっさらった「東京都知事候補 無所属 外山恒一 36歳」。でもワシは彼の演説を笑うことは出来なかった。なぜなら彼の叫びは、この国の政治と選挙を真剣に考えたことがある者なら、皆が行き着く先だからである。

外山恒一演説に、一々うなづいてみる

  • 諸君!この国は最悪だ!
    うん、そうかも。
  • 政治改革だとか何とか改革だとか、私はそんなことには一切興味がない!
    みんなそうだよな。
  • あれこれ改革して問題が解決するような、もはやそんな甘っちょろい段階にはない!
    全く持ってその通り。
  • こんな国はもう見捨てるしかないんだ、こんな国はもう滅ぼせ!
    そうかもしれない。
  • 私には、建設的な提案なんか一つもない!
    建設的に思えても「絵に描いた餅」だもんな。
  • 今はただ、スクラップ&スクラップ、全てをぶち壊すことだ!
    そうかもしれない。
  • 諸君!私は諸君を軽蔑している!この下らない国を!そのシステムを!支えてきたのは諸君に他ならないからだ!
    その通りだ。

(中略)

  • 少数派の諸君!選挙で何かが変わると思ったら大間違いだ!
    その通り。
  • 所詮選挙なんか、多数派のお祭に過ぎない!
    その通り。
  • 多数決で決めれば、多数派が勝つに決まってるじゃないか!
    その通り。

(中略)

  • 改革なんかいくらやったって無駄だ!
    そうかもしれない。
  • 今進められている様々の改革は、どうせ全部全て奴ら多数派のための改革じゃないか!
    その通り。

(中略)

  • 外山恒一に悪意の一票を、外山恒一にやけっぱちの一票を!じゃなきゃ投票なんか行くな、どうせ選挙じゃ何も変わらないんだよ!!
    そうなんだよな。

先の見えない閉塞感

このように彼の言うことは一々もっともだ。全ては同意できなくても「そうかもしれない」と思ってしまうものがある。
痛みを伴うナントカ改革とかで何とか出来るなんて、誰も信じちゃいない。「年金詐欺」に騙されているのは分かっていても何も出来ない。かといって「スクラップ&スクラップ」、つまり戦争でもやって「ご破算願いましては」と「徳政令カード」を使うか、中国かアメリカに飲み込まれるのか、どちらにしても明るい未来なんて見えやしない。

理想と現実

自分なら、自分たちの考えなら、この国を変えられる。そう信じて理想に燃える若者は少なくない。オウム真理教はそれを実現するために25人を衆議院選挙に候補として擁立し、全員が落選した。その後彼らは自分たちを受け入れない社会を見限り「スクラップ&スクラップ」の道へと進んだ。その後どうなったかは知っての通りだ。
とても優秀で理想に燃えたまま、無所属で20代の内に当選する者もいる。任期中も精力的に活動し、国民のために精一杯の努力をする。しかし、いざ選挙になればそんな理想はどこかに行ってしまう。自分が選挙に勝てたのは「若い新人」だからであって、実力が評価されたからではない。かといって新人が数年で実績をあげれるような世界ではない。勝つためにはやはり「三バン」が必要なのだ。「支持者の期待に応えるため」と自分に言い聞かせ、有力会派に取り込まれる。こうしてこれを繰り返すうちに「普通」の議員になっていく。

本音と建て前

800兆円の借金なんて返せるはずがない。改革なんて無駄だ。みんなそう感じている。でも頭のいい人は「借金減らせなくても、これ以上増やさないようにしないと」とか言う。で、それからどうするの?
結局先延ばしするなら、改革なんていらない。100年間先延ばし法案を出せ。「子孫に負の遺産を残す気か?」そうだよ。ワシらの親や、親の親の世代はそうしてきたんじゃないか。なんでワシらだけが貧乏くじ引かされにゃならんのだ。

おまけ:1970年ごろ生まれ福岡出身

キチガイばっかだな。