新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

岡野雅行リンク集


約60万人の糖尿病患者がインスリンを自分で注射する治療をしているが、テルモは痛みを和らげたいという思いで「痛くない注射針」を発案。100社以上に製作を依頼したが断られ、携帯電話の小型電池ケースなどを生産する岡野工業が開発に協力。先端わずか0.2ミリと従来品より2割も細い微細加工で、「蚊に刺された程度の痛み」しか感じない注射針を完成させた。
 岡野工業岡野雅行社長(72)は「意気に感じて作ったものが選ばれ最高」と喜んでいる。
「ケータイ電池ケースのシェア100%」って自慢しとったアノ親父が、またやりおったのか。
うれしかったのでクリップしてみた。

空襲の時、焼夷弾が見たくて防空壕に入らなかった
みんな防空壕の中に入るけど,僕だけが,焼夷弾の落ちてくるとこがみたいから入らないんだよ.爆弾なら防空壕に入らないと破片が飛んでくるけど,焼夷弾だから,破片なんか飛んでこない.おれはそういうのを知らなかったけども,偶然にそうなっちゃったわけだよ.火事になると自然に風が発生するんだよ.防空壕に入った真面目な人はみんな死んじゃったわけ.蒸し焼きになっちゃう.運がよくて,そこで僕の世渡りがうまくなった.違ったことをやることは勇気のいることなんだよ.
前に「特別であること。普通でいられないこと。」で書いたことマンマだ。時間がない人は、このPDFだけでも読んで。メチャクチャ面白いから。

誰にもできないものを作ろうというチャレンジ精神はどこから出てくるのですか。
優等生ではできません。優等生は小さいころから大学を出るまで、いろんなことで去勢されて教育されています。これをやったらダメ、これをやったら人に笑われると。ところが私たちみたいなのは自由放任で、勝手気ままに遊んでいましたから。仕事というのは遊ばなきゃできません。遊びの中から仕事というものは生まれてくるもんですよ。ですから理論じゃなくて感性です。遊びの中で感性を養っていくわけです。今の子供は遊び方が足りないと思います。人に与えられたもので遊んでいるので、自分の考えがないし発想力がないでしょう。それでは全く新しいものなんてできるわけがありません。
岡野さんは決して理論無しの感性だけで仕事をしているわけではない。感性で発想し、理論で裏付ける。ただし、理論と感性が対立したときは、感性を優先させる人なのだろう。

職人のカン
まず最初に“こんなものを作ってほしい”という依頼を聞いて、60%可能だと思ったら請ける。職人としての長年の勘で、どれくらいの確率で可能なのかは、大体わかるんだ。で、あとの40%は、いってみればアドリブね。実際に手を動かしながら、完成させていくわけだ。あたしの場合、もう頭の中と機械が直結しているようなもんだから、図面なんかなくても手を動かしていれば、だんだんどうすればいいか、解決が見えてくるから。
「職人」としか言いようがない。最近のソフトウェア開発では、仕様書書いて、フローチャート書いて、プロジェクト立ち上げて、とかめんどっちーことが多い。もちろん大規模な開発には必要なんだけど、そこから新しいモノは生まれないよね。

余裕のあるときに楽をせず、難しい仕事に取り組め
正確に言えば、僕にしかできなかったというわけではありません。そもそも、できるかできないかという判断が、僕にしかつかなかったということなんですよ。他の部品メーカーは、わからないから手が出せなかった。僕にはなんとなく解決の糸口が見えた。そこの差なんです。なぜ他の経営者には判断がつかなかったか。それは、バブルが崩壊するまで、楽な仕事しかしてこなかったからです。あえて難しいことをしなくても、十分儲かっていた。儲かっているのに、何であえて難しい仕事に取り組まなければならないんだ、という考え方が主流だったんですよ。当時は。
バブルがはじけたらはじけたで、今度はコストダウンに追われた。先行投資をする余裕すらなくなった。新素材の難しい加工なんかに手を出したがらなかった。だから誰も知識や経験を持っていないんです。
バブルってのは悪いことばかりじゃなった。楽して儲かっていたんだから、余裕のある時に研究開発をせずに踊っていたツケが今回っているのだと。

修学旅行の学生たちが見学に来るようになった
この間、山形・長井市の中学生が5、6人で来たの。1人不登校の生徒がいて、無理やり修学旅行に引っ張って来たんだって。それで、私の話を30分くらい聞いたかな。子供たちが外に出た後、担任の先生が「あいつ、岡野さんの話聞いて、ガラッと変わっちゃった。あんな目は見たことない。やる気十分になっちゃった」って。
教育というのはそこなんだ。学校を嫌いにさしちゃうものばっかりやるから、いけねぇんじゃないかと思うんだよね。
そういう子供が2、3人いる。家に帰って、父兄から電話がかかってくる。「岡野さんちに行って、変わって帰ってきた」って。玄関の戸を開けるときに「おれはやるんだッ」って帰ってきたって。仙台の子はそのくらい変わっちゃったんだよ。
そういう生きる道を教えてやんないとね。「こうやれば、こうやって儲かるんだ。お金の嫌いなやつは1人もいねぇだろう。好きだろう。好きだったら、こうやって儲ければいいんだ」と。そうしたら、みんな喜んで帰っていただいて、ほんとにありがたいよ。「こうやれば儲かんだよ」と教えてやれば、ものすごく興味もつんだよ。
開発はカメラ会社の現場に15年いた婿の縁本さんと
基本的な考え方が違うから、良いもんができるんだよね。おれはアナログだろ。向こうはデジタルだよ。それが融合すると、ものすごく良いもんができるんだよ。
あいつが来る前までは、うちの近所に同業者がいっぱいいるでしょう。おれが「できねぇ」って言うと、「岡野さんが『できねぇ』なら、うちだってできるわけがねぇ」こういう風潮だったんだよ。おれたちが「うまくいかねぇな。困ったな」というとき、縁本がちょいと来て、「社長、違うよ。これ、こうやったらいいんじゃないですか」ってヒント出されるとさ、「ああ、そうか、そうやってやればできるんだよな」と。今、それの連続なんだ。だから、あいつのあだ名が「火星人」。天体から来たような考え方なんだもん。
だから、人間は「私は商売が違うから、こういうことはできません」なんてことはないんだよ。やる気があるならどんな工夫でもできるんだよ。

「必ずできると信じること」がモノづくりの心
できないのは、王将がなくても気づかずにやっている将棋と同じだよ。つまり、専門バカになっているからだ。その道の常識にとらわれているとできないんだ。外野から見ると王がないことは誰でもわかるだろう。だから王将がないことに気づくかどうかは、自由な発想ができるかどうかにかかっている。そして、必ずできると信じていれば、いつかは気づくはずだ。

今後の社会を支える若者へ・・落語を聴け!人生の機微を教えてくれる
近頃の若者は落語なんて聞かない。という声をよく聞くけど、古典落語をじっくり聞いてみろってんだ。落語はいろんなことを教えてくれるんだよ。本当なんだから。古典落語が分からない人が良い発想など生まれないと、俺は思うよ。