新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

科学記事に見る元ソースに当たる常識すらない新聞



米航空宇宙局(NASA)は16日、地球磁気圏観測衛星が11日に撮影した南極のオーロラの画像を公表した。
今月7日から9日にかけて太陽で大規模なフレア(爆発現象)が多発した影響と見られ、南極大陸上空に、緑色の巨大な輪がかかっている神秘的な様子がはっきり写っている。
神秘的な緑のオーロラがハッキリ? バカかコイツは。「地球磁気圏観測衛星」が可視画像を撮れる光学カメラ積んでると思ってるのか? 今回NASAが公開したページに「A view of the aurora australis as taken by IMAGE spacecraft on Sept. 11 in ultraviolet light.(IMAGE観測衛星が9/11に撮った紫外線画像)」とハッキリ書いてある。紫外線に色が付いてると思ってるのか。これはオーロラの様子をわかりやすく色を付けてイメージ化したものであって、緑の輪っかが映っているわけではないし、白い南極大陸の氷もオーストラリアの緑の大地も青い海だって雲だって映っちゃいない。全部合成だ。もし光学カメラで撮ったして、ぼんやりとしたオーロラの光と太陽に照らされた地面を同じ画面に収められるわけがない。南極がこんなに太陽に照らされているとでも? 小学生の理科の知識でも少し考えればわかるはずだ。
新聞に署名入りで記事を書いておいて、この知識なのも恥ずかしいが、記者として最も恥ずべきなのは元ソースに当たっていないことだ。元ソースを見ればこれが紫外線画像であることはすぐわかるし、さらにIMAGE観測衛星のページを読めば、衛星が光学カメラを搭載していないことがわかる。つまり記者として最低限のこともしておらず、読売新聞もそれをそのまま垂れ流しているということだ。よくこれで著作権がどうのとか言えるものだ。
まさかと思うが、ひまわりの画像に陸地や海が色つきで映っていると思ってる人はいないだろうか。もちろん赤外線画像に色なんて付いていない。あれもわかりやすく合成しているだけだ。
「理系離れ」がどうのこうの言われているようだが、大新聞がこのレベルじゃ仕方もないか。

追記

ちょっと探したら、IMAGEのことを日本語で解説しているページを見つけた。
地球磁気圏観測衛星IMAGEによる地球磁気圏の広域画像

同じセンサーによる北極方向からの画像。こっちは青で色を付けている。真ん中の小さくて薄い輪っかがオーロラ。