新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

天気図で見る新潟・福島の豪雨

気象学を知らなくてもわかりやすいように、天気図を使ってできるだけ専門用語を使わずに、この豪雨のメカニズムを説明してみようと思う。(できるかな?)

13日09時の地上天気図


まずはおなじみの地上天気図。梅雨前線が東北を横切っており、朝鮮半島には低気圧が発生している。これだけでは大雨になるかどうかはわからない。

本来、梅雨前線は「弱い雨が長い期間続く」のが特徴で、単独で今回のような短時間での強雨をもたらすことは少ない。
(参考:http://rika.shinshu-u.ac.jp/ischool/tenki99/zensen/teitai02.htm

13日09時の高層天気図


200ヘクトパスカルの風の流れ。矢羽根が多いほど風が強い。津軽海峡付近に強風軸(ジェット)が解析されている。

300ヘクトパスカルの風の流れ。青森付近に強風軸。

500ヘクトパスカルの風の流れ。宮城付近に強風軸。

前線とは線ではなく「面」

こうして高層天気図をみると、地上では福島付近あった前線が上層にいくにつれ、宮城→青森→津軽海峡と北に上がるのがわかるだろうか。前線とは線ではなく面なのだ。
先ほどの図に手を加えたものを見て頂きたい。

まず、先ほどから出てきている「強風軸」とは何か? 読んで字のごとく風の強い軸だ。この強風軸を実際に体験してみよう。合わせた2枚の紙を5センチほど放し、左右の手に持ち顔の前にぶら下げる。この隙間に息を吹き込むと、2枚の紙は引き合ってくっつこうとするはずだ。なぜか。強い風が吹くと、そこは空気の密度が小さくなる。つまり気圧が下がる。強風軸付近は気圧が低くなる。つまり低気圧の発生である。
  • 強風軸に向かって、暖かく湿った空気がガンガン吸い込まれる
  • それまで寝そべっていた前線面が立ち上がる
  • 強い上昇流が生まれる
  • 上昇流に乗って持ち上げられた水蒸気は飽和・凝結し水になる
  • 水になる際に、蒸発の時の気化熱とは逆に凝縮熱が発生し温度が上がる
  • 温度が上がるとさらに上昇し、水蒸気が無くなるまで雨を降らせる
  • この上昇気流が、さらに暖気を吸い込み、雨を降らせる
これが豪雨のメカニズムである。