新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

大道芸は非常識?


ムービー(WMV9/136KB)を見てどう思われるだろうか? スゴい?危ない?非常識?迷惑? 感じ方はみなそれぞれだろう。芸の途中、お巡りさんが注意したとき、観客からはブーイングの嵐だった。しかし警官の立場からすれば、駅前の人通りも多い歩道橋で、ましてや火を使うなど言語道断だろう。お巡りさんは間違っていない。
では大道芸人は非常識なのか? 上の写真を見ていただきたい。芸をしている彼に背を向けている男がいるのがわかるだろうか。おそらく彼は芸の最中後ろが見えない芸人に代わって安全を確保するために後ろを向いているのだ。ビデオを見返してみると、その間彼はずっと歩道橋を掃除していた。彼らが芸をはじめる前より終わった後の方がきっとキレイだったはずだ。お巡りさんに見つかっても、逃げるようなことはせず、キチンと後かたづけをし、警官に暴言を吐く観客をなだめていた。
が、それでも彼らは非常識である。大道芸という存在そのものが非常識なのだ。仕事や遊びから家へ帰る日常のひととき、彼らが見せてくれる非日常がどのくらい観客の心を動かしたのだろう。ほんの少しの非常識、ほんの少しの迷惑が我々の日常に潤いを与えてくれる。
実はお巡りさんも注意はしているものの、絶対にやらせない!みたいな雰囲気ではなかった。ヤジを飛ばした観客にも憎悪の念は感じられなかった。皆それをわかっていた。その時間、その空間を楽しんでいたのだ。
少し前に『なんとなくかくにっき』というサイトに「いたずら書き」をした高校生をプロバイダ・学校経由で追い込んだ人がいた。最近、こういう余裕がない人が増えている気がする。怒っていないのに怒っているポーズをとったり、たいして迷惑と思っていないのに、とことんまで追い込んだり。怒る側に余裕が欲しい。そして余裕のない大人を見て育った子供は、やはり余裕がない。ちょっと叱られただけで落ち込んだり、自殺したりする。怒られる側も次の日にはケロッとしてるくらいの余裕が欲しい。余裕がなく窮屈なものは、長くは保たない。