新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

測候所廃止計画で「合理化」を考えてみる

気象庁は12日、全国46カ所の測候所を10年度までに原則廃止し、職員338人を削減する方針を決めた。(気象庁、測候所を原則廃止へ、100年超す歴史に幕(asahi.com))
これに対し、全国でも最も災害の多い鹿児島のテレビによる報道があった。

ニュース映像(WMV9/10MB/4:17)

鹿児島県は多くの離島を抱えるため、測候所が多い。

農業と漁業が中心の産業構造のため、気象情報に対する要求は高い。

離島にとって悪天候は死活問題。

じゃあ測候所を廃止すべきではない?


だからといって合理化をしなくていい理由にはならない。台風に関しては地元の測候所は特別な情報を持っているわけではない。全国ほとんど同じだ。家屋の手入れは普段からしておくべきだし、台風が近づいてから補修を始めるようではかえって危ない。

今はほとんどの情報はマスメディアやネットで入手することが出来る。

雷はLINDENでまかなえるし、黄砂や視程は視程計やカメラによる画像解析で置き換えることが出来る。

生物季節観測は動植物園やボランティアに委託すればよい。

高層気象観測も半自動化し、民間に委託できる。

合理化はやるべきだ

合理化を進めれば、測候所どころか気象台も必要ない。東京で全部出来る。いや、東京じゃなくても出来るじゃないか。人件費の安い中国の大連あたりにおけばいい。もちろん職員も中国人だ。まぁ、そこまで極端でなくても、九州は福岡だけくらいにはできるだろう。ただ、それで本当にいいんだろうか。種子島で降っている大雨を、いい天気の福岡にいて実感できるのだろうか。
そして危惧するのは、合理化で職員削減と言ってもクビを切るわけではなく、新規採用を減らすことにある。IT化についていけない、年功序列だけで高い賃金をもらっている老人どもはそのままなのに、これからの気象庁と日本の防災を担っていかねばならない若者は入ってこない。また、技術部門はそれなりに合理化が進んでいるが、事務部門はからっきしで「お役所仕事」のままだ。「文書管理の電子化の推進」という文書が紙で送られてきた日には「それはひょっとしてギャグで言ってるのか」と突っ込んでしまわずにいられない。
合理化はやるべきだ。ただしそれは「理に適う」ものでなくてはならない。求められているのは測候所廃止ではく「コスト削減」だろう。測候所を廃止したから合理化ですってのは、頭の悪い者が言うことだ。
多分測候所を廃止した後は、民間気象会社や気象予報士にその役目をやらせるつもりだろう。だが、そいつらは気象庁を定年になったOBだったり、タレントになるための足がかりに位しか考えていないおねーちゃんだったりするわけよ。