新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

水不足のはなし

コメント欄には長くなりそうなので、こっちで。
私も水不足の大変さは身にしみるほど知っている。何と言っても1994年の福岡大渇水。8月4日から翌95年の6月1日、約300日間という給水制限を福岡市民は味わった。しかし不思議と嫌な思い出ははない。このレベルまで来ると「水が出ない方が普通」になる。つまり「水が出ない→不便」ではなく、「水が出る→ありがたい」という意識になるのだ。夜間給水制限で最も影響を受けた夜の街も、客がバケツでトイレの水を流すのが当たり前。食器も使い捨てのもの。でも、みんなたくましく商売し、客も文句なんて言わなかった。私も自然と節水が身に付き、給水制限が終わってからもしばらくは風呂の水でトイレを流していた。人間、便利さにも慣れるが、不便なのも慣れるものだ。どうやら、福岡市民のほとんどがそういう感覚だったらしく、断水解除後も超節水状態が続いため、福岡市水道局は収入が激減し、断水時の水道管理の超過勤務手当が重なって財政難になったほどだ。
蛇口をひねれば水が出る。それが当たり前ではないことを体験した福岡大渇水。水事業の進歩と節水への取り組みが功を奏しているから、もうあんな事はないと思う。でも10年に一度くらいはあった方がいいんじゃないかな、なんて思う。