人を従わせるなら、まず自分から。
我が国でも、もはや昔ながらの醤油よりも、アミノ酸やカラメルが入っている醤油風調味料の方が多いのではないか? 他の食品についても、発泡酒をビールと言ってみたり、カペリンをししゃもと言ってみたり、矛盾だらけではないか。
米側代表として協議に加わるコンサルタントらは「日本は大豆と小麦などを発酵させて造る天然醸造にこだわり、天然醸造か否かの表示を義務化するよう主張している」と語る。日本としては、合成ものも出回る中、日本の天然醸造ものを差別化することで妥協を図ろうとの狙いのようだ。
米国はコーンシロップや塩、タンパク質を分解して抽出されたアミノ酸などを加えて作る商品もソイ・ソースの範疇(はんちゅう)に入れるよう唱え、「天然醸造かどうかの表示を義務化する必要はない」という立場だ。
すしブームの米国ではキッコーマンやヤマサなど日本の伝統しょうゆの需要も確かに増えている。ただ、米国人は必ずしも伝統製法にこだわっておらず、カラメルなどの着色料を加えたしょうゆも広く使われている。
中国や韓国は「天然醸造の表記には固執しないものの、製造法は表記すべきだ」との立場だ。
本気で伝統だの文化だの言うのであれば、自らを省みてからにすべきだろう。柔道のカラー道着のような、合理性のないバカげた事にならないように願う。