傘を持たずにバスを待っていたご婦人
ふと見ると、お出迎えスポットから5メートルほど離れたバス停のベンチに、一人ご婦人が座っていた。すると警官は彼女に「お出迎えスポット」に移動するよう促した。天気予報を見ていなかったのだろうか?彼女は傘を持っていなかった。病院前の屋根付きのバス停のベンチでバスを待つ、傘を持たぬご婦人を、何十台もの白バイとパトカー、そして防弾ガラスに守られたクルマに乗った人物のために、屋根のない場所に移動させた。「お車」が通過するまでの20分ほどの間、彼女は時間雨量2ミリの雨に濡れることになった。
なんのための「お出迎え」か?
警官に「何様のつもりだ!」と叫びそうになったが、雷大雨洪水強風波浪の5点セットを発表しなければならない。ムカムカしながら自らの職責を果たすことにした。もちろん彼も同じだ。彼は自分の職責を果たすために雨の中合羽を着て濡れながら警備をしている。だが、なんのための警備なのだ? 彼にはそのご婦人が天皇に危害を加える危険人物に見えたのか? それが判断できないほど彼の鼻は効かないのか?目は節穴なのか? 確かに今の彼は天皇を警護している。だがそれ以前に市民を守るのが警官の仕事だろう。彼には想像力がないのか? 言われたまま動くロボコップか?
今頃は宿舎に帰ってほっと一息ついている頃だろうか? 「さっきのご婦人には悪い事したな。せめてビニール傘の一本くらい貸せればよかった」とか彼が思っていてくれるといいな、とか思いながらこの文章を書いた。