新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

「Level1飛空艇症候群」患者に振り回されないために

タレントの森公美子氏が「私にiphoneは無理無理!」と公式ブログで吼えている件に id:KoshianXが「どんだけ人に甘えりゃ気が済むんだ。わからないわからない言ってるだけで解決すると思うな!」と吼えている。

新しいものに臆病で、誰かに保障してもらえないと行動できない。そんな人物像がありありと見える。仕事じゃけっこうな功績をあげた人でも、なぜか機械に関してはずいぶんと消極的なのが不思議だ。
聞かれる立場にならないとわからないだろうが、「自分であれこれやるより人に聞いた方が速い」という迷惑なライフハックを実践してるのだろう。聞く側は一人でも聞かれる側は何十人に同じこと聞かれてるという事が想像付かないのだろうな。

森公美子に見るムラ社会とガラパゴスケータイ - 狐の王国

何度も聞かれることはFAQにまとめて掲示

文章から、 id:KoshianX はシステム管理者の類の仕事をしているようだ。てらじの中の人も似たような仕事をしているが、一度でも聞かれたことはFAQにまとめてイントラに掲示してある。

本当は、このFAQそのものを聞きにきた者に書かせるのが一番だと思う。自分でFAQを書けば嫌でも覚えるし、FAQをまとめる者の苦労も身をもって実感でき、一石二鳥だからだ。まぁ、実際にそれをさせたら、独りよがりでわかりにくい説明になって、結局書き直しの二度手間になるだろうが。

マニュアルを読もうとしない「教えてクン」へ

と、ここまでは似たような対応をしているケースも多いだろう。ワシの場合さらにFAQのトップに、映像系アナリスト小寺信良氏の文章の抜粋を載せてある。タイトルは「マニュアルを読もうとしない「教えてクン」へ」だ。

 彼ら彼女らは新しいデバイス、例えば携帯でもiPodでもいいが、まずマニュアルなど見ない。とりあえずデタラメにいろいろ使ってみて、行き詰まったら誰か詳しい人に聞く、というスタイルでこれまで生きてきた。
 マニュアルを読むのはある意味負けである。誰のどういう負けかというと、ユーザーにマニュアルを読ませなければわからないようなものを作ったメーカーの負け、という意味であり、そういうものを好んで自分で選んだわけなのだが、それは「ハズレ」であり、「アタシだけ不幸」なのであり、「ムカつく」のである。
 人に聞くというのは、ある意味究極のインタフェースだ。自分が何がわからないかも適当な説明で済まし、あとはあんたが考えて、というわけである。ある意味、医者にかかるということと似ているかもしれない。症状を訴えて、どこが悪くてどうすれば直るかを人に判断して貰う。
 マニュアルや辞書、百科事典など、それを見れば必ず書いてあるはずの情報源にアクセスすることを、疎ましく思うようになってしまっている。検索性や一覧性が悪いからだ。そして答えを調べる過程も、学校教育ではあまり評価しない。
 本当にわからないところ「だけ」がテンポラリ的にわかるようになっても、全体の構造を理解したことにはならない。そのためにはやはりそれに至るまでの経緯や体系を知ることが必要だ。結局、辞書などで調べさせることの意義とは、その調べる過程で得られる付加的な知識も「コミ」なのである。

情報過多が作り出す「Level1飛空艇」症候群 (1/3) - ITmedia NEWS

この文章を載せてから、ヘルプの声がかかるときも明らかに態度が変わった。これを読んで態度が改まらない者や、最初から読もうとしない者は「そういう者」として扱うようにした。「あなたには無理ですよ。日本語読めないのだから」
逆切れされたり、「冷たい」などと言われることもあるが、八方美人で愛想良い人間と違い、ワシは「そういう者」に対しヘラヘラした態度をとることができない性格をしているので仕方ない。「そういう者」になんと思われようと、何も感じない。
自分から学ぼうとしない者は何をやっても駄目。そういう者に自分の労力や誠意を浪費することは、人生の無駄遣いだ。小寺氏の『Level1飛空艇症候群』は、自分の時間を割く価値がある人間かどうかを振り分けるのに最適なテキストだと思う。お勧めだ。