新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

「Blogger’s etiquette」が気持ち悪い件について

前のコラムでも言及した「Blogger’s etiquette」が、ティム・オライリーの単なる翻訳版から「ガ島通信版」として再スタートしたようだ。

  1. 自分の信条に従い自由に発言するが、その責任を自覚します
  2. オープンさと寛容さを保ち、ブログを運営します
  3. 自分のブログでの発言、他ブログや掲示板でのコメントに責任を持ちます
  4. 人に向かって公然と言えないことはネット上でも言いません
  5. 他者を傷つけないよう発言に留意します
  6. 商品やサービスの提供を受けた際は、企業の関係性を明示します
  7. 個別のブログにブロガーが定めた規則があれば、それを尊重します
  8. トラックバックスパムマルチポストは行いません
FrontPage - Blogger's etiquette - Seesaa Wiki(ウィキ)

「日本版」って言ってるのに、タイトルから横文字なのはどうなのよ?
と、なんかしらんけど、どこか気持ち悪い「Blogger’s etiquette」。何が気持ち悪いのか考えてみる。

自主規制

ワシはゲーム小僧だったのだが、夜遅くまでゲームセンターで遊ぶ青少年が問題になり、1985年に風営法および青少年保護育成条例での規制対象となった。子供が夜遅くまで盛り場にいるのは良いことではないので、時間制限を設けることに反対する者は居ないだろう*1だ。しかし0時以降の深夜営業禁止は、深夜しか遊ぶ時間の無い仕事をしている者は、プレイの機会を奪われることになった。青少年保護育成条例だけではなく、風営法まで適用されたのは、ゲーム業界がしっかりとした自主規制、例えば自主的な入場制限、脱衣麻雀などをレンタルビデオ店のアダルトコーナーのように別スペースに置く、明るい雰囲気の店作り等の努力をせず、「ゲームセンター=非行の温床」という悪い印象を社会に持たれたからだと思っている*2
そしてネットも「無法地帯」「便所の落書き」といったイメージが2ちゃんねるなどを代表に存在している。トラブルが続き、権力者の目に余る状況になり、「規制やむなし」といった社会的合意が形成されれば、中国のように「ネット検閲」が実施され、暗黒の時代が訪れることだろう。
このような理由から、ワシは「権力者からネットやブログの自由を守るために、自主規制を」という提案を支持する。

Blogger’s etiquette」の気持ち悪さ

ワシが「Blogger’s etiquette」を気持ち悪く思うのは、

日本におけるブロガーズエチケットを、ブロガーの手によって作る

という文言が、嘘くさく感じるからだ。藤代裕之はこれを真剣に提案しているし、そこに嘘は無いと思う。しかし、「ガ島通信の藤代裕之」が、「Web2.0ティム・オライリー」の提唱を翻訳って時点で、それは「ブロガーの手」ではなく「アルファブロガー」の手によるものなのだ。昨日、統一地方選が終わったばかりだが、「市民・弱者のための政治を!」とか資産家の候補に言われても説得力が無い。それと同じ嘘くささをこの提案に感じてしまうのは、ワシが貧乏人の弱小ブロガーだからなのか。
それと、この「ガ島通信版」では削除された

コメント削除は思慮を持って行うこと

など、マルコ風に言えば「コメント欄を閉じているお前が言うな」としか思えない。削除したのも、そのツッコミを回避するための「賢さ」ではないか? といった穿った見方をしてしまうのだ。

ネットの自主規制は、本当に「自主的」にやってほしい

先ほど「無法地帯」と言った2ちゃんねるだが、完全に無法地帯というわけではない。「削除人」やアクセス規制による運営側の強制執行もあるが、基本は住人による「自治」だ。各掲示板には「ローカルルール」が、長い時間をかけて形成されている。それに至るまでには、数々のトラブルを繰り返し、それに対応してきた経験の蓄積が必要なのだ。
2ちゃんねるの「最低限のルール」はたった2つ。

  • 他人に迷惑をかけるのはやめよう
  • 他人が見て面白いことを書こう
http://info.2ch.net/guide/faq.html#B2

これだけだ。もちろん細かい削除ガイドラインは存在するが、2ちゃんねらの心得、いわば「憲法」はこの2つに集約される。ネットやブログだけではない、人生に於いての心得はこの二つだけ良いのではないか?
前にも書いたとおり、ワシはブロガーってのは独立独歩の精神を持つべきだと思っている。人に言われて自分に足枷かけてどうする。自分が好きでやってることぐらい、自分の好き勝手やろうや。それでトラブったならしゃーないやんか。みんなが行儀良くエチケットを守って平穏で退屈なネット生活より、トラブルも沢山、バカも沢山の「炎上とケンカはネットの華」の方がワシは好きだ。
だから、もう一度言う。
お前ら、好きにやれ

*1:当事者を除けば

*2:事実はどうか分からない