新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

カッコいいことはとても素敵なことなんだ


このコラムで書きたいのは、城島がカッコいい捕手だということです。日本でも城島のカッコよさは群を抜いていました。彼のスタイルがMLBでそのまま通用するのかどうか。そんな心配はたった1試合で吹き飛んでしまいました。
MLBデビュー戦で城島のカッコよさが最も表れたのは、3−3で迎えた8回表の守備の場面でした。モイヤー降板後の3番手投手が2死一塁からダリン・アースタッドを見逃し三振にしとめた場面です。見逃し三振にしとめた球をキャッチした城島は、主審のコールを待たずに一塁側ベンチ側にさっと動き出しました。その動きの後で、主審はストライクアウトのコールをしました。
MLBデビュー戦でこんなパフォーマンスをした捕手は、これまでいたでしょうか。たぶん、そんな「不遜」な行為をした捕手はいなかったでしょう。デビュー戦に限らず、新人選手はどこかおどおどした仕草をしてしまいます。審判も新人選手のそんな仕草に敏感に反応し、新人選手に不利な判定をしてしまうものです。
しかしです。城島にはそんな仕草はまったくありませんでした。「どうだ。これがストライクでなくて、どんなストライクがあるんだ」という意思を体で示していました。それまで、きわどいコースをボールと判定してきた主審への無言の抗議だったのかもしれません。
MLBには多くの優れた捕手がいます。しかしです。城島ほどカッコいい捕手は現在のMLBに、他にいるでしょうか。主審のコールを待たずに城島が動き出したシーンは、まるで映画のラスト
シーンのようでした。この場面で試合中継が終わってしまっても、何の不自然さもない。そんな場面でした。
城島がこれからMLBの名捕手たちと対戦し、捕手としての格とカッコよさを競い合う。今シーズンのMLBに、魅力がまたひとつ加わりました。
野球総合メールマガジンBaseball Monthly」より。