ふるさとの新聞
通信技術が発達した現代、故郷の家族と連絡を取る手段はいくらでもある。携帯電話・メールは人々から距離感を失わせた感すらある。それでも故郷を思う気持ちは今も昔も変わらないだろう。私は転勤のある職場に勤めているが、職員のPCのブックマークには必ずと言っていいほど故郷の新聞社サイトがある。やはり皆、故郷が気になるのだ。
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて 異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
愛媛新聞社は自サイトのローカルニュースを会員限定ページに移した。会員の条件は「愛媛新聞の読者並びに愛媛県内に居住し、地域の活性化や文化向上を目指す個人」となっている。つまり愛媛県外に住んでいる人は、愛媛新聞を購読せねばならない。購読料は郵送費を含め最低3ヶ月で13,680円。月4650円換算になる。つまり愛媛新聞社は、いつか故郷に帰れる日を思いながら県外で働く人々や、親元を離れ勉強している学生に「愛媛の情報が欲しかったら4650円払え」と言っているのである。新聞を送料を払ってまで購読している人が、どのくらいいるのだろう。大学時代に愛媛新聞を取り寄せていた愛媛新聞社員は、どのくらいいるのだろう。国内ならまだカネで解決できる。おそらく海外発送は行わないだろうから、海外にいる愛媛県人は、愛媛新聞から情報を得ることは不可能だ。
新聞社は慈善事業ではない。県外の読者など知ったことではないと言うことだろう。しかし、ローカル記事と言うのは、愛媛のことを県外に知ってもらうという意味もあるのではないか。ローカル記事が読めないローカル新聞社サイトに、何の存在意義があるのか私には理解できない。
「情報」という字は「情けを報ずる」と書く。自分たちの存在を誰が支えているのかに思いを馳せることができない者に、存在価値はない。
ネタ元:日々lま゛やきます「最近どうも地元ニュースに触れていない気がすると思ったら」