新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

席を譲らなかった若者


電車の座席はほぼ埋まり、車内には立っている人がちらほらいる程度。男性1人、女性2人のハイキング帰りらしい高齢者が立っていた。彼らの目の前の座席には若者2人と50代ぐらいの女性1人が座っている。若者は2人とも茶髪、1人はサングラスをしていた。
この高齢者組の男性が「最近の若い者は年寄りを立たせても平気なんだから」「ちょっと前は罪悪感からか寝たふりをしたもんだが、最近じゃ寝たフリもしないからふてぶてしい」などと、かなり大きな声で話している。
サングラスの若者が口を開いた。「あんたたちさぁ、山は歩けるのに電車では立てないの? それっておかしくない? 遊んできたんだろ? こっちはこれから仕事に行くところなんだよ。だいたいさぁ、俺みたいなヤツが土曜日も働いてあんたたちの年金を作ってやってるんだって分かってる? 俺があんたみたいなジジイになったら年金なんてもらえなくて、優雅に山登りなんてやっていられないんだよ。とにかく座りたかったらシルバーシートに行けよ」
3人の高齢者は凍りついたように黙りこくり、次の駅で降りていった。
おもしろい。時間があったら書くかも。