新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

広がる貧富の差とネットワーク

私はメッセンジャー等のプロフィールに英語も使うと書いてあるので、時々日本以外の人からのコンタクトを受ける。一番多いのは東南アジアの国からで、中国・タイ・韓国・マレーシア・フィリピンという順番で多い。コンタクトしてくる人の特徴としては、以前は大学生や研究機関、外資系の会社といった、ネットワークインフラがある職種が多かった。場所も首都や大都市ばかりだった。最近はその傾向が変わり、地方、それも世界地図には載っていないような、小さな町からのアクセスが増えた。そして仕事に困っている人が多い。日本語を身につけて、少しでも就職に有利になるように、という思いの人も少なくない。
こういった実態をネットワーク経由で実感、というには遠いと思うが、それでも感じることができる。もはやネットワークは一部の裕福層ものだけではなく、貧困層に浸透してきている。それが逆に貧困の厳しさをありありと表現している。タイの地方都市で、母親の服屋を手伝っていた女の子は、日本語ができるという武器を持っていても職に就けず、水商売をするためにバンコクに出ていった。水商売はイヤだと言っていた。お母さんも反対していると言っていた。私は何も言うことができなかった。
つくづく日本は平和で豊かな国だと思う。でもそれは、こういった人々から搾取することによって築かれたものだ。自分は搾取される側でもあるが、それよりも遙かに多くの人々から搾取する側であることを、時々思い知らされる。