新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

夏休み特別企画:台風5号の類似台風を見つけて、進路を予想してみよう

『デジタル台風』が過去25年分の台風画像データベースを公開した。偶然にもちょうど同じ日に台風5号が発生している。折しも夏休み。生きた教材が目の前に降ってきたわけで、これはもう自由研究するしかないでしょ? というわけで、アニメ系やらOpera系やらに勘違いされがちな当ブログの本分である、台風の勉強をしてみよう。

台風データベースで、類似台風を検索してみよう

まずはデジタル台風に行ってみる。http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/ 「台風200605号」の画像があるね。そこの下の「MTS106072000」ってリンクを押してみる。「単一画像ビュー」ってページが現れて、色んな情報が表示される。「全球カラー画像」を眺めるもよし、壁紙にするものよし。「自由研究」なんだから自由に勉強しよう。
しばし堪能したら、下の方の「高度な検索」の「中心緯度でグループ化(5度単位)した類似画像検索」を押して、似たような場所にあった似たような過去の台風を画像検索してみる。都合のいいことに1件だけ「GMS490070603」ってのがヒットしたはずだ。1990年第7号の7月6日03グリニッジ時、日本時間では昼の12時の画像ってことだね。
こいつの199007 (WNP)ってリンクをクリックすると、ベストトラック地図が表示される。

つまりここで言う「類似台風」ってのは、「似たような日に、似たような場所にいる、似たような台風なんだから、進路も似たようなもんじゃね?」って考えでアプローチしてみようってわけ。今回は1個しかヒットしなかったから一発で決まっちゃったけど、何個もヒットしたときは、中心気圧の変化やら、全球画像の雲の様子やらからイメージしてみる。雲画像を動画で見るとイメージしやすいかもしれない。自分なりのイメージのつかみ方を探してみるといいだろう。

天気図の気圧配置で、進路を予想してみよう

こんなに簡単に類似台風やら予想進路やらが求まったら、気象庁なんていらないわけで(笑) もう少しだけ突っ込んで調べてみよう。
台風の動きを左右するのは気圧配置によるところが大きい。去年の14号の時にも解説したけど、日本列島を太平洋高気圧がすっぽり覆ってると、台風は近づいて来れない。台風はなるべく気圧の低いところ低いところを探して通り道にするのだ。
ってことで、当時の天気図を探すわけだが、だいぶ古い資料なのでWeb上では見つけられなかった(探し方が悪いのかも)。仕方がないので、気象庁天気図CD-ROM版を利用することにする。大きめの図書館なら置いてあると思うし、気象台に行けば閲覧することが出来る。

うん、そう、手書きなんだ。ビックリだよね。紙の原版は国会図書館にあったんだけど、ものすごく迷惑だったらしい(笑)新聞紙1枚分くらいの大きさなんだよ。そんなもんが毎日毎日何十枚も増えていくわけで… ってことで、このままじゃ使いにくいんで、回転してトリミングしよう。

台風は台湾の東側にあって北進している。でも日本列島は高気圧に覆われて気圧の尾根の中にあるので近づけない。だから中国東北部にある低気圧から伸びる気圧の谷の接近に併せて、北上したんだね。イメージできるかな?
では今から72時間後、7月23日09時の予想天気図を見てみよう。「HBC専門天気図」でゲットできる。

さて、どうだろう? 「何か」が見えてきたはずだよね? もっと資料を集めて吟味すれば、立派な予想になるし、立派な「自由研究」になると思う。
そうそう、Google Earth台風をプロットするプラグインが公開されているので、これで遊ぶのもかなり楽しいぞ。
2ちゃんでコロッケつまみながら「米軍vs気象庁」だの「関東直撃祈願」だの適当に遊ぶのも楽しいけど、もちょっとだけ根拠のある予想をしてみると、もちょっとだけおもしろくなると思うよ。

ってここまで書いといて

なんだけど、アニメや牛乳瓶のふた集めより、よっぽどマニアックな遊びだっての!(大笑い)