新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

漠然とした不安の原因を、「新しいもの」のせいにするのは老化の証拠


少年が起こす凶悪犯罪に、行政は、テレビゲーム規制の理由として、「テレビゲームの残虐な表現がかかわっている」との可能性を指摘しています。動画ミラー(約19MB)
何かというと「悪いことはゲーム・ネットのせい」にしたがる傾向の強いマスメディアでは珍しい検証。ただし内容的にはパオロ・マッツァリーノ(通称「まっつぁん」)氏の『スタンダード 反社会学講座「第2回 キレやすいのは誰だ」で既に述べられている点が多く、7分半もの長い動画を見るよりも、まっつぁんの文章を読む方が面白い。ただ、彼の文章は社会学への皮肉が多く含まれ、冗長な部分、彼の言葉を借りると「くだらない話」も少なくない。(そこが彼の文章のおもしろさでもあるが)そこで、ダイジェスト版として抜き出してみる。

Q.少年の凶悪犯罪は本当に増えているのか

A.強盗以外は減っている

これだけを見ると、年々増えているように見えるが、それは数字のマジックで…

時間軸を昭和20年代まで伸ばすと、全体的には減少傾向であることがわかる。少なくとも凶悪犯罪に関しては「昔は良かった」なんていうのは妄想に過ぎないのだ。
強盗が増加傾向にあるのは、カネが全てということがよく教育された成果と、貧富の差の広がりと言ったところだろうか(根拠無し)

Q.犯罪数が減ったのはわかった。でもそれは少子化のせいでは? 犯罪率はやっぱり増えているのでは?

A.日本は先進国の中では若年層凶殺人率が著しく低い国である

どこの国でも、どの文化でも、いちばん人を殺すのは若い男で、それをグラフ化するとこのように同じようなカーブになることから「ユニバーサルカーブ」と呼ばれるそうだ。

ところが最近の日本に関してはそれが当てはまらない。全世代的に見て殺人率は低下しており、若年層に於いては著しく低下している。逆に5,60代の高年齢層の低下率は小さく、逆に最近では上昇している。
これらのことから青少年の凶悪犯罪が増加しているというのは妄想で、その妄想をしている5,60代では凶悪犯罪率が増加しているという事実が導き出される。つまり高年齢層が自分たちの世代のことは棚に上げ、若年層に漠然とした社会不安の責任をなすりつけているのである。

力のない古いものほど、新しいものを潰そうとする

ここからは私の妄想を話す。高年齢層には自分たちが悪いことをしてきた自覚がある。それは昭和35年が最も凶悪犯罪が多いデータでも現れている。でも当時はそんなに責められるような悪いことではなかったのだ。ところが社会のモラルの向上により、自分たちは「前科者」になってしまう。それを認めたくない。悪いのは自分たちではなく社会の変化だ。変化させたのは誰だ?若いやつらじゃないか。あいつらと俺等の違いはなんだ?ゲームだよ、ケータイだよ、ネットだよ。そう、直接「新しい者」を責めるのではなく、「新しい物」を責めればいいじゃないか。これが彼らの心理だ。何故そうなるのか。それは老化が原因だ。新しいものについていけない。だから拒否する。そしてついていけない自分を守るために新しいものを潰そうとするのだ。

引き際が肝心

老化は誰の責任でもない。ついていけないのも仕方のないことだ。であれば、いつまでも表舞台にしがみついていないで、後進に道を譲るべきだ。それを出来ずに人の邪魔ばかりしているならば「老害は死ね」と言われても仕方ないだろう。新しいものに興味を持つより先に拒否反応が出るようになったら、自らの引き際を考える歳になったということだ。

追記

このページの方がもっと詳しかった。おすすめ。
少年犯罪は急増しているか

追記2

ソース動画が早くも消えてしまったようなので、国会図書館デジタルアーカイブが本格稼働するまでの間、ミラーを置く。
また、河合幹雄さんの治安が「あぶない」が「あぶない」というコラムが面白かった。