新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

SCEI久夛良木とドラクエすぎやまこういちの違い


驚いたのは、ファミコンをやってるときに、サウンドトラックが4本しかありませんと、音のディレイもありませんと、それで音楽を表現しないといけないと。そんなもんで音楽なんてやれませんよね。

(インタビュアー)20年前にファミコンサウンドをつくるのは、とても大きな制約があったんでしょう。
メモリの制約が大きかったですね。だから、オープニングとエンディングはなんとか3トラック使いますけど、中身は2トラックでお願いしますと。当時はサウンドの時代で、プロの作曲家にゲーム音楽を頼もうとすると、メロディとハーモニーでしか勝負できなくて、 サウンドでは勝負できないということで、そういう連中はみんな拒否したわけです。
「3トラックで音楽ができるわけがない」という声も聞かれたんですが、 僕から言わせると、「それは力がないからだ」ということになるわけです。バッハの「フルートのための無伴奏パルティータ」は、フルート1本ですばらしい組曲ができてるわけです。あれは、1トラックなんだよね。
1トラックでも、メロディ、ハーモニー、リズムをぜんぶ表現できるということを、 大先輩のバッハがやってるわけですから、「2トラックではできません」というのは、プロのセリフではないわけです。
ファミコン音源の構成は、矩形波2・音量固定のベース音を出す三角波1・ノイズ1・DPCM(サンプリング)1の5チャンネルからなる。しかしメモリー制限からDPCMが使われたゲームは少なく、実質4chと思っていい。ところが当時のサウンドクリエイター達はこの4chをまるで魔術のように操っていた。一部のメーカー(コナミなど)の曲には固定のはずの三角波の音量が変化しているように感じるものがあった。当時の私は自分の耳がそう思いこんでしまうほど、曲がよくできているからだと思っていた。今回調べてみたらバグを利用するといじることが可能だそうで、つまり彼らはバグすらも利用して限界を打ち破り「勝負」していたわけだ。
そしてPCM音源全盛の今でも、その狭い舞台の上でアクロバットを踊っている人たちがいる。2003年に開催されたファミコン音源コンテスト「FAMICOMPO」では45作品がエントリーされ、そのレベルの高さを競った。その中から1曲、オリジナル部門で1位を獲得したNARUTO氏の『Artificial Intelligence Bomb』を紹介。久夛良木氏にも聞かせたい。
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