報道とは何か

結論から言うと、多くの人が興味があるだろうことを、面白おかしくふれてまわるのが報道だ。それがいいとか悪いとかではない。
先日、元大関貴乃花が亡くなった。私は当時まだ小さかったので、相撲のおもしろさはわからなかった。だが私の両親は彼がとても好きだった。憎たらしいほどの強さを誇った北の海との優勝決定戦。近所迷惑なほどの大声援をテレビに向かって送っていた。そんな両親を私は恥ずかしく思っていたが、まさか自分がホークスに向かって同じ事をするようになるとは。
閑話休題。そのくらいの大人気力士の死であるから、報道でも大きく扱われた。彼の偉業を讃え、件の優勝決定戦も流された。しかし2日後の葬儀の時には、もうネタがなくなったのだろうか、貴乃花の話よりも、息子の若貴兄弟の確執、夫人との離婚とかの話の方が多かった。
だってそうじゃないか。みんなもう貴乃花の偉大さはよくわかった。もう飽きている。それより若貴の兄弟げんかの方が興味がある。視聴者の「知りたい」を代行しているのが報道だ。JRが事故を起こせば記者会見で罵る。遺族の代行だからね。視聴者はさ、人が罵倒されたり、ボコボコにされたりするのを見るのが大好きなんだよ。「マネーの虎」を見てみろよ。最初は野心ある若者がカネを掴むために必死にプレゼンする番組だった。でもそのうち、バカ者がよく考えもせずにプレゼンして、そのバカさ加減をぼろくそに言われるのをニタニタと眺める番組になっただろ？ 弱いもの、失敗したものを、自分のことは棚に上げてとことんまで叩く。これが基本だよ。
え、ガードレールの金属片は、クルマがかすった時にはがれた物だって？ 困るよ。 あれはどこかで始まったものが、ネットで広まって模倣犯が全国に発生したんだ。そういうシナリオで犯罪心理学者の先生にもコメント取ってんだから。今更そんなオチで済むかっての。おい、今からでもいいから、２ちゃんに犯行予告書いてこい！ あ、社内から書き込むなよ。携帯から書き込め。