新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

デマはデマであると見抜ける人でないと(地震情報を使うのは)難しい

ここ10日間ばかり、ある問い合わせにうんざりしている。代表的なのは

○月○日に日向灘で震度8の地震が起きると細木数子が言っていた

と言うものだ。
馬鹿馬鹿しい。便所の落書きと言われる2ちゃんねるでさえ「ソースは?」で終わる噂である。TVの民放も2つしかなく、DQNな社説を垂れ流す新聞が幅をきかせているような情報過疎地域の上、たいした娯楽もないから、おもしろがってチェーンメールにしているのだろうか。
こういう電話をかけてくる人に、「それはどのテレビ番組でしたか?」と聞くと、99%は「自分は見ていない。友達が見たと言っていた。」という答えが返ってくる。残り1%は「ホントに見たんだ!アタシがウソを言ってると言うの?!」と逆ギレするパターン。
細木数子さんと言うのは有名な占いタレントらしく、いかにもそういうことを言いそうなキャラクターらしい。しかし、彼女の事務所も、彼女が出演している番組も「そのようなことは言っていない」と回答しているし、ネットを検索してもそのような事実は見つけることができない。
第一、「震度8」なんていう地震は存在しない(震度7が最高)。ちょっと調べればデマであることがわかるのに。小学生が騒いでいるならともかく、いい大人が何をやっているのだ。チリでは「津波がくる」と言うデマのせいで1万人が避難し、死者まででているのだ。(参考:「津波」デマ 街パニック チリ 1万2000人避難、死者も) 中越地震では新潟県庁内にまでデマが流れたそうだ。噂というものがいかに恐ろしいかがわかる。この話を書くこと自体が噂の元になる可能性もあるわけだ。対策マニュアルにも噂の規模が小さいうちは、こちらから積極的に対応すると逆効果とある。しかし、ここにきて震度2程度の小さな地震が起きてしまったため、噂に拍車がかかることが予想される。
地震が予想できればいいが、残念ながら地下何万メートルものわずかな変化を察知できる技術は現在のところない。津波を起こすような地震は海底でおきるわけで、陸地よりもさらに観測は困難だ。地震予知は現状では不可能なのだ。
つまり真下で起きる地震については、もうどうしようもない。普段から家具を耐震固定するとか、非常持ち出し品を整理しておくとかしかない。だが、離れた場所で起きた地震津波ならば、到達するまでに時間がある。たとえば地震到達まで10秒だとしよう。わずか10秒でも、いまあげている天ぷら鍋の火を消すことくらいはできるだろう。なにもできないにしても、いきなりドーンとやられるのと、「来るっ」と身構えられるのとでは全然違うだろう。津波到達まで10分あれば、高台に逃げることができるかもしれない。自治体や消防、気象庁では、このような取り組みを行っている。しかし、デマ情報に妨害されては、どうにもならない。
「誰かが言ってたよ」と言うこと自体がデマを広げているのだ。デマを流しているのはあなた自身なのだ。