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Opera9は重いから「Lite版」を作らないか? - ピザオフで話したこと(6)

Opera9は6とかに比べてちょっと重くね? 何とかなんない?

核心である。Operaは「The Fastest Browser on Earth(地上最速ブラウザ)」というキャッチフレーズを掲げており、こんなグラフ*1を見せられるのは、Operaユーザーとしては許しがたい屈辱なのだ。
今回の話は、高速性よりも軽量軽快であることに重点が置かれた。テッちゃんもこのことは気にしているらしく、表情がこわばった。

Opera9がちょっと重いのは、私も感じている。開発チームにも優先的に「何とかしろ」と言ってある。

それを補足してワシが、

小さい容量のまま新しい機能を追加するのは難しいから、最低限の機能のみ搭載した「Opera Lite」を出す考えはない?

つまりこれは、Opera版「Firefox」を出すつもりはないか? ということだ。

Operaでも議論したけど、2つのバージョンをサポートしてリソースを分散してしまうより、1つのフルバージョンの中で各機能がオン/オフできるほうが総合的に良いと判断した。

「顔が見える」コミュニケーション

実はこの回答は質問する前からわかっていた。そして、テッちゃんもこの手の質問は何度も受けていて、少々うんざりしているのではないかと考えていた。だから、「Opera9が重い」ことと、「Opera10」の話は「しないように」って言おうかと思ってた。でも、一ユーザがそこまで考える必要はない。ユーザーは自分勝手で我侭でいいのだ。
それに、バグトラックやメールと違って、やっぱり「顔が見える」チャットは「気持ち」が伝わりやすい。テッちゃんはとても表情豊かで、面白い話では笑い、厳しい質問の時は困った顔を隠さなかった。ワシはこれまでビデオチャットをあまり有効なコミュニケーション手段だとは思っていなかったが、それは認識不足だった。

頑固なまでにブレないポリシー

テッちゃんとの会話で一番感心したのが、彼は全くブレないのだ。たとえば「Opera liteとかどう?」とか「日本のケータイ用にダウンロードできるOperaを出してよ」とかいう要望に対して、「そうだね、考えてみるよ」みたいなリップサービス的な曖昧な受け答えもできたはずなのだ。しかし彼はそれをせず、「出来ないものは出来ない、やらないものはやらない」とハッキリ断り、そしてその理由を丁寧に説明した。そして我々も「これこれこういう訳で、こうして欲しい」と具体的な提案をした。非常に実のある質疑応答だったと思う。
頑固なまでのポリシーはOpera「ボイス機能」に現れている。これはOperaの操作を音声で行えるようにするものだ。が、残念ながら英語でしか操作できず、英語圏の人間であったとしても殆ど使われていない機能だ。だって、手で操作したほうが早いんだから。でも、Operaはこの機能を絶対に外そうとしない。なぜか? それは、この機能が手が自由に動かせない人のためにあるからだ。上級者・初心者、障害者・健常者、PC・ケータイ・ゲーム機ユーザー。全ての人に使いやすいインターネット環境を提供する。「Operaを全てのデバイス、全ての人に」これこそがOperaのポリシーであり、絶対に譲らない点なのだ。だからボイス機能も、IRCBitTorrentRSSリーダーメーラーも絶対に外さない。多少の問題は上級者なら解決できる。でもRSSが何なのかも知らない人にRSSの便利さを知ってもらうには、RSSアイコンをクリックするだけで使い始めることが出来るように、ブラウザに標準装備するのが一番なのだ。
改めてOperaのポリシーをそのCEOから直接感じることが出来、とても満足いく1時間半だった。

*1:IEやFxとの比較ばかりでOperaなんて眼中無いよって感じだが、「The fastest web browser on any platform」って明らかにOperaを意識してるよな