新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

「Mozilla24」に落胆する

インターネット接続の技術躍進は、この数年で驚くべき進化を遂げ、今やブロードバンドの常時接続が当たり前の世の中になってきています。常に何かがインターネットに繋がっており、私達個人のライフスタイルはもちろん、それを取り巻く社会や企業の姿にも大きな影響を及ぼしています。
まさにネットワークは24時間世界中で動き続けています。
その発展は、インターネットをより快適に利用するためのツールである"ブラウザ"、そしてインフラである"ネットワーク"、両者が互いに影響し合いながら双方の技術が進化を遂げ、今や現代の生活における重要な一部にまで成長しました。

http://www.mozilla24.com/members/

よくある、実によくある前口上だ。はっきり言って反吐が出る。

ブロードバンドが当たり前?

種子島で唯一の産婦人科を持つ西之表西之表の池田医院(池田速水院長)が、今年12月31日で産科の診療を中止する。同医院によると、島内の産婦人科医は池田院長1人だけ。設備やスタッフが不足しているうえ、救急時のヘリコプター搬送なども手続きが煩雑なケースがあり、お産時の安全性が保てないという。
種子島では、南種子町中種子町でつくる公立種子島病院が2004年4月に移転新築された際、住民から産婦人科設置を求める声が上がったが、採算面などから見送られた。

唯一の産科が年内で休診/種子島 設備不足、安全性保てず

鉄砲伝来の地である種子島では、このまま行くと来年から島内でのお産が不可能になる。「『少子化対策』なんてレベルじゃねーぞ!」これが地方の実態だ。
ネットワーク環境にしても同様だ。総務省の平成17年12月末現在での調査(PDF)では、鹿児島県のブロードバンド普及率は21.8%。東京都の60.8%と実に3倍の格差がある。現在では多少は普及も進んでいるだろうが、格差自体は広がっている。ADSLはおろか、ISDNすら届かない地域がまだまだあるのだ。
こういった地方の現実に目を向けず、東京や先進国の先端部分だけを見て、「将来」「未来」「期待」といった、バラ色の言葉だけが並ぶ。こんなものが平気で実行委員長の口から出るイベントに、ワシは心底落胆する。

ブロードバンドではなく、「ケータイ・モバイル」こそが「常時接続」

では、そういった地域では、どのようにネットワークを利用しているのか。それはケータイである。ブロードバンドではなくケータイが常時接続手段なのである。もちろん実際にケータイを繋ぎっぱなしにするわけではなく、「いつでも使える」といった意味では、ケータイでの接続しか他に手段がないのだ。
また、Twitterの流行を見れば分かるように、「いつでもどこでも」という本当の意味での「常時接続」とは、「ケータイ・モバイル接続」なのだ。が、Minimoプロジェクトの評判を聞く限り、Mozillaはそのことが分かっているとは思えない。*1

「Mozilla24」から新しいアイデアが生まれることは期待できない

このイベントにご参加いただきたいのは、技術者に限らず、インターネットを日々自由に楽しんでおられるエンドユーザの皆様や、世界各国で様々な文化の上でネットワークを利用している皆様です。日々悩みながら利用しているユーザとアイデアを形にする技術者とのコラボレーションがあり、初めて次の技術が生まれ、技術の進歩につながります。そういった意味で、次世代の技術革新のベースは、ユーザのアイデアから生まれると私達は考えています。

実行委員会のメンバーにこれだけ技術者ばかり並べておいて、「技術者以外の人も参加してね」ってバカじゃないのか。せめてしょこたんだとか、ペ・ヨンジュン*2をメンバーに加えて、おばちゃんがソウルとチャットとかの発想はないのか。

  1. 24時間リレーディスカッション
    インターネットの未来についてとことん語り合う。
  2. IT界の偉人達が語るFirefox
    IT界の偉人でFirefoxユーザな人達による講演を行う。
  3. 24時間耐久デバッグ
    志願者が24時間かけてバグの修正を行い、24時間後に成果を発表する。
  4. 100人が選ぶ!Firefoxテーマコンテスト
    今までにない層のユーザの観点からテーマのコンテストを行う。
  5. Firefoxイメージフィルムコンテスト
    自由な発想でインターネットの未来を映像として描く。
http://www.mozilla24.com/press/press01.html

こんな企画例を見て、技術者以外の誰が「おもしろそう」「たのしそう」と思うのだ。
一般の人は「インターネットの未来」にも「IT界の偉人」にも「24時間耐久デバッグ」にも全く興味なんて無い。むしろネットが無くなっても困らない。それが普通の人だ。
この発想の貧困さ、一般人との感覚の乖離こそが、頭でっかち脳内バラ色技術者どもの度し難い点だ。

大層な能書きを並べた、技術者のオナニーイベント

とまぁ、クソミソにこき下ろしたわけだが、その24時間で何か得られるものがあったり、何もなくても特設サイト(?)にアクセスするだけで楽しいならいいだろう。が、そのような「参加してる感」に乏しいイベントにネットワーク越しに参加するだけで、「楽しい」と感じることが出来るだろうか。生暖かく見守るとしよう。

*1:ここでワシが「Operaならば…」と続けると「信者乙」になるので書かない(笑)あんまり使ってないしね。

*2:古い?