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ニコニコ動画を救うのは「BitTorrent」

「動画はトラフィックがやたらと大きくなってしまい、回線コストがかかるのでなかなか規模が広げられない。YouTubeトラフィックコストは月間2億円、年間だと数十億円になると聞くが、年間の利益は1億5000万円程度。それでビジネスが成立するかというと難しいのでは」(ひろゆき氏)

ひろゆき氏、「ニコニコ」ヒットでも「動画は“来て”ない」 (1/2) - ITmedia NEWS

ニコニコ動画に限らず、YouTubeStage6などの動画共有サイトにとって最も頭が痛いのが「転送量」。結論から言うと現状のインフラと技術で解決するならば、P2P技術である「BitTorrent(ビットトレント。以下BT)」を利用するのが一番だろう。

BitTorrent」とは?

BTは、Winnyなどと同じP2Pを使ったファイル配信技術。特徴は「人気ファイルほど転送が速い」ことだ。動画配信にはこれが重要。人気の動画にアクセスが殺到すると、普通の配信では速度が低下したり、サーバーがダウンしたりしてしまう。ところがBTなら逆にダウンロードが速くなるのである。この長所を生かし、LinuxのISOイメージや、ネットゲームのダウンロードなどに利用されている。これは動画共有サイトにとっても長所だろう。

BTの弱点

BTを利用するにはBT用のクライアントソフトが必要だ。動画共有サイトの長所は、ブラウザのみで気軽に視聴できるところにある。インストールが面倒な別ソフトを用意するのでは、そのメリットが失われてしまうのだ。
しかしOperaならば標準でBT機能が搭載されている。これをFlash側からコントロールすることが出来れば、Operaは最強の動画クライアントになり得るだろう。ニコニコ動画のように、表示を拡大できないページでも、Operaならば普通に拡大できる。
ルータ側にBTの機能を持たせるアプローチもある。-有線LANルータ|MZK-04G|PLANEX
それからもう一つ。BTはファイルの先頭から順番にダウンロードされるわけではない。1つのファイルを多数のピースに分割して転送が行われる。このため、再生が始まるまでに時間がかかったり、再生が始まっても、ダウンされていない場所に来たら途中で止まってしまうことになる。これがBTが動画共有サイトに採用されない最大の弱点だ。

BTの技術を使った専用クライアント

以上の理由から、現状のBTクライアントを使って、動画共有サイトを運用するのは難しい。しかし、BTの技術を使った専用クライアントならどうだろうか。ダウンロード開始直後は、ファイルの先頭を優先的にダウンロードするようにすれば、後半は十分追いつける。追いつけなくなったら、今のストリーミングのようにバッファリングを待ってもいいし、その部分は飛ばして再生とかも出来るだろう。またシーダー(ダウンロード済みのユーザー)が少ない不人気ファイルは、普通のダウンロード形式に切り替えればよい。専用クライアントならば、こういった芸当もそんなに難しくないはずだ。そして、ダウンロードしていない空き時間に広告用のファイルを、裏でダウンロードしておき、バッファリング中に流すようにすればよい。一般的なCMの15秒もあれば、十分にバッファリングできるだろう。

ISPP2Pキャッシュサーバーを設置

P2Pを使っても、配信元やユーザーは良くても、ISPの負担は減らない。これを削減する方法としては、ISPP2Pキャッシュサーバーを設置するアプローチがある。

ハイデフ化でさらに肥大化するトラフィックに対抗するにはP2P以外無い

これまでYouTubeの320x240映像でも満足していたユーザーが、ニコニコ動画(SMILE VIDEO)の512x384の映像に慣れ、目が肥えてきているのを感じる。そりゃ、きれいな方が良いに決まっている。この流れは止められないし、それに伴いトラフィックの増大も避けられないだろう。
ライブ配信ならばマルチキャストという手もあるが、それだったら普通にテレビの方がよい。やはりネット動画のメリットは「オンデマンド」にある。これらの要求に応えるには、現状ではP2P以外考えられないだろう。
テレビにも普通にLAN端子が付いていて、HDDレコーダもネットワーク対応。これらのAV家電にP2Pで寝ている間にダウンロード、なんて使い方もそこまで来ているのだ。P2Pの活用に取り組まない限り、動画配信に未来はないだろう。

この記事へのコメントから

いつもありがとう。何度も言うけど、TERRAZINEはコメントがあって成り立ってる。頼りにしてるよ。

北米じゃ始まってるよね

え、どれのこと?

発想的にはDemocracy http://www.getdemocracy.com/ と同様か

これのことかな?

BitTorrentもサポートしているらしいのだけれども、やはりOperaについているようなおまけ程度の感じ。現時点では改善の余地は多いけれど、BitTorrentをサポートしているということ自体がチャレンジといったところでしょか。

Democracy:RSSを利用したインターネットビデオプレーヤー - スポンサー広告オンライン配信 インターネットテレビ

あー、うん。こんな感じ。これをもっと賢くした感じで。

もう面倒だからpeercastつかっちゃって一億総放送局化したほうがよくね?

賛成! なんだけど、Peercastは「放送」なんだよな。VODには向いてない。っていうか、できんわな。

CDSにはふれないのな

CDSCDN*1)については、Stage6などがAkamaiを使ってるけど、Akamaiの一人勝ちで面白くないんだよなー。Coralは期待してたんだけど、あまり聞かないね。どうなん?
それにCDNだと、URI単位での処理だよね? つまり同じファイルが複数存在するような場合、具体的にはYouTubeのFLVをニコニコに転載したときとかは、キャッシュが効かない。でもハッシュで管理するP2Pキャッシュなら、別の場所にあるファイルでもキャッシュが効く。これって地味に効果あるんじゃないかな?

SkeedCast使えば?

おー、そんなのもあったね。これ、ワシの環境だとうまく動かなくて忘れてた。今も試したけどやっぱりダメ。なんでだろ。うまく動いてる人いる?

ストリーミングというか、リアルタイム再生を考えるとBT採用は困難っぽい。BTを使うなら、クライアント側(若しくはそこに近い側)で全キャッシュしてから再生するのがシンプルかつ応用が効くかも。

まずswarmに繋がるまで時間かかるから、即時再生は難しい、というかできないよね。だから最初の10秒は待ってもらう。その間はCMね。もちろん「チャンネルを変えられない」ようなのを。で、サービス会社が確実なSeedなわけで、そこからファイルの先頭を優先的に配信する。これは現状のBTではできないので、ピースの優先度管理ができるようにする。あとは普通のBTと同じでいい。人気が集中すればするほど速くなるから、ダウンロードが間に合わないことはまずないだろう。間に合わないようなら「不人気」なわけで、それは普通のダウンロード形式にしてもいい。ハイブリッドな感じで。

BitTorrentよりもストリーミングに向いたネットワークがいくらでもありますよね。例えば、Yahoo動画などでは採用されているのもそうです。

ストリーミングじゃなくてVODの話してんのにね。「BBブロードキャスト」のことを言ってるんだろうけど、これは現状ではライブストリーミングのみでVODには使えない。それに、このリンク先の図を見ると、Yahoo!BBという自前のアクセス網を持っているからできる話ではないの? 他のISPを含めて使えるのかいな?

かぶりまくり(笑)

誰か招待してクレイ!