新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

際限無き要求が救急医療を閉ざす


 奈良県大淀町の町立大淀病院で今年8月、出産中の妊婦が意識不明の重体に陥り、受け入れ先の病院を探したが、同県立医大付属病院(同県橿原市)など19病院に「ベッドが満床」などと拒否されていたことがわかった。妊婦は約6時間後に約60キロ離れた大阪府吹田市の国立循環器病センターに搬送され、男児を出産したが、脳内出血のため8日後に死亡した。
 主治医は分娩中にけいれんを起こす「子癇(しかん)」発作と判断、けいれんを和らげる薬を投与する一方、同日午前1時50分ごろ、同県の産婦人科拠点施設・県立医大付属病院に受け入れを依頼したが、断られたという。
 付属病院と大淀病院の医師らが大阪府内などの病院に受け入れを打診したが拒否が続き、国立循環器病センターが応じた。高崎さんは同センターに同日午前6時ごろ到着、脳内出血と診断され、緊急手術で男児を出産したが、8月16日に死亡した。男児は元気だという。
 大淀病院の横沢一二三事務局長は「脳内出血を子癇発作と間違ったことは担当医が認めている」と話した。搬送が遅れたことについては「人員不足などを抱える今の病院のシステムでは、このような対応はやむを得なかった。補償も視野に遺族と話していきたい」としている。
 実香さんの夫で会社員の晋輔さん(24)は「病院側は一生懸命やったと言うが、現場にいた家族はそうは感じていない」と話した。生まれた長男は奏太ちゃんと名付けられた。実香さんと2人で考えた名前だったという。
いやね、気持ちはわかるんよ。そりゃーたらい回しにされたあげくにお母さん死んじゃったんだから。でもさ、たらい回しにしたのはそうするしかない事情があったからだよね。
受け入れなければ叩かれはするけど、責任を追及される事はない。受け入れ体制が不十分なのに、受け入れて患者を助けられなかったり後遺症が残ったりすると、高額な賠償責任を問われる。じゃあ受け入れない方が賢い。で「十分に」時間が経ってから「よしウチが引き受けましょう」って言えば「救世主」のようだし、もし失敗しても「ウチに来たときには手遅れでした」って言い逃れができる。こうやって「責任分散」をすることが救急医療の「リスクマネージメント」になっているのではないか?
これってさー、「被害者意識が強い障害者自身が、障害者を排除させる」とまったく同じなんだよね。こうやって際限なく責任を追及していくと、逆に「責任を放棄した方が得」ってことになっちゃうんだよ。
システムに問題がある? じゃあどうすればいいんだろうね?

『ブラックジャックによろしく』第1話「研修医の夜」
『ブラックジャックによろしく』第1話「研修医の夜」
『ブラックジャックによろしく』第1話「研修医の夜」
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医者を増やす? 人件費が高騰し、ますます病院経営は悪化するばかりだ。安易に数だけを増やせば、それは質の低下につながる。アタック25カンニング男医大生だっではないか。
ってなこと書いてたら、エラいことになってきた。
また満床などを理由に妊婦の受け入れを拒んだ病院の対応についても、刑事責任が問えるかどうかを検討する。
おーい、病院のエライ人。今すぐに看板に次の文章加えた方がいいぞー

ウチはヤブです。風邪とハライタくらいしか診れませんので、急患は受け付けておりません。

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最初に「放置」と断じた記事を読んで「ああ、また朝日の弱いものの味方のフリした弱いものいじめか」と思ったんだけど、取材が進むにつれて論調が変わってきているのがわかる。当たり前なんだけど、患者さんを助けたくない医者なんかいないし、放置なんてするはずがない。何とか助けようとしたけどダメだったんだ。誤診は責められるべきだけど、それは過失であって故意ではない。過失を認めるとものすごい勢いで叩かれるから、隠蔽するようなって、ますます医療ミスが闇に葬られてしまう。こういうときには第三者の客観的な調査が必要なんだけど、警察はもちろんとして、マスコミの力もやはり大きい。だがゆえにマスコミには「客観的」な視点で取材と報道をしてもらいたい。この際「感情に訴える」記事は有害にしかならないのだから。

ブラックジャックによろしく(1) (モーニング KC)

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