新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

迷惑メール晒し、あるいはお前ら勉強しろと言うオッサンの話

件名無しのHotmail

あるメールの対応に苦慮している。


こんにちは、初めまして。
突然連絡して、申し訳ございません。

この度、terraziさんのブログを見て、お聞きしたいことがあったので、メール
をさせていただいております。

私は現在○○○○大学の学生で、○○○○キャンパスに通っております。
そちらの英語の授業の一つで、日本の文化を正しく世界に浸透させるべくウェブ
サイトを作るということをやっています。
現在ウェブ上に存在する多くのサイトでは、誤った日本の文化の紹介や解釈が書
かれており、世界中に日本の文化についての間違った情報が流れている状態です。
私達のクラスのゴールは、学生の視点と英語力を活かして、本当の日本の文化を
わかりやすく、おもしろいコンテンツを用いてウェブサイトにしようというもの
です。
今年中にとはいきませんが、数年後にはたくさんの人々に見てもらえるサイトに
なるはずです。

そこで今回私のグループでは「いただきます、ごちそうさま」について調べてい
ます。
グーグルで情報収集をしていたところ、terraziさんのブログにたどりつきまし
た。
2006年1月22日の「いただきます、ごちそうさま」のブログに載っている、
英語版の日本のアニメにおいての英訳のしかたの例の数々は非常におもしろいと
思いました。
これらの画像を我々のコンテンツの一部として、そのサイトに是非載せたいと思
いました。
そこでterraziさんの許可、もしくは意見をお聞きしたくメールをしました。
terraziさん個人のファイルからとった画像ということなので大変申し訳ないの
ですが、どうかお願いできませんでしょうか。

どうも、突然長いメール、失礼いたしました。

お返事お待ちしております。


○○○○
○○○○大学 環境情報学部3年
○○○○@***.****.ac.jp
○○○○@hotmail.com

私はこれまでこの手のメールに対し、何が間違っているのか、何が失礼なのかを懇切丁寧に教えてきた。しかしそれは間違いだったのでは無いかと考えている。

子供の好奇心や探求心を奪っているのは、親切な大人である

女王の教室』というドラマの中に、こんな印象的なシーンがあった、



生徒:「どうして勉強するんですか、私たち。この前先生は言いましたよね、幾ら勉強して良い大学や良い会社に入ったって、そんなの何の意味も無いって。じゃあ、どうして勉強しなきゃいけないんですか?」
教師:「いい加減目覚めなさい。まだそんなことも分からないの? 勉強はしなきゃいけないものじゃありません。したいと思うものです。これからあなた達は、知らないものや理解できないものに、たくさん出会います。「美しいな」とか「楽しいな」とか「不思議だな」と思うものにもたくさん出会います。その時、もっともっとその事を知りたい、勉強したいと自然に思うから人間なんです。好奇心や探究心の無い人間は人間じゃありません、猿以下です。自分達の生きているこの世界の事を知ろうとしなくて、何が出来るというのですか。いくら勉強したって生きている限り分からないことはいっぱいあります。世の中には何でも知ったような顔をした大人がいっぱい居ますが、あんなもの嘘っぱちです。良い大学に入ろうが良い会社に入ろうが、いくつになっても勉強しようと思えばいくらでも出来るんです、好奇心を失った瞬間人間は死んだも同然です。勉強は受験のためにするのではありません、立派な大人になるためにするんです」
「美しいな」とか「楽しいな」とか「不思議だな」とは誰しも感じる。そして、その事をもっと知りたい、勉強したいとも誰しも思う。でも、そこで大人が簡単に答えを与えてしまっては、好奇心や探求心が芽生えることはない。

答えのみを求めるようになった、Google以降のネットワーク

『裏ニュース!』の読者は答えしか求めていないんですよ

以前、裏ニュース1号さんにお会いしたときに聴いた言葉で、今でも強く印象に残っている。『裏ニュース!』はコピーやエミュレーションなどの話題も扱う「アンダーグラウンド」系ニュースサイトだった。UGの世界では全てが自己責任の「分かるヤツだけが分かる」。自分で調べもしないで、人に聞くことは『教えてクン』と呼ばれる最も忌避される行為のはずだった。それなのに裏ニュースの掲示板は「○○ができません。どうしたらいいんですか?」という書き込みばかりという有様。
私のサイトでも、文章を読んだ後、自分で考えることもせず「これはどういう意味なんですか?」と書き込む読者が増えていた。いや、違う。読んですらいないのだ。自分で考えない、自分で読まない。答えだけが欲しいのである。
この傾向はGoogle登場以降、一段と強まった。Googleならピンポイントで答えが見つかる。目的ページ以外を読む必要はない。いや、その答えのキャッシュ部分だけでいい。
ブログも同じだ。続き物の話なのに、?Bのホットエントリーでリンクされたエントリーしか読まない。つまり、関連したリンクを次々と巡っていく「ネットサーフィン」は過去のものになってしまったのである。かろうじて残っているのは『Wikipedia』くらいだろうか。

答えそのものではなく、答えを導く方法を教えるのは難しい

なぜ大人は簡単に子供に答えを教えるようになってしまったのか。一つは「子供に嫌われたくない」からだろう。では、なぜ嫌われることを恐れるのか。それは自分に自信がないからだ。たとえ一時的に嫌われても、それが子供のためならば、最終的には子供も理解するはず、という自信だ。
もう一つは、答えを教えてしまった方が簡単だからだ。ものを調べるというの大変な労力がかかる。労力だけなら時間さえかければよい。しかし、例えば検索のためのキーワード一つにしてもセンスがいる。絞り込みのための検索条件を使ったことがない人も少なくないだろう。図書館で調べるにしても、それがどのジャンルに該当するのかが分かっていないと、どうにもならない。
こういった苦労を経て答えにありつける。勉強というのは宝探しなのだ。ところがいきなり宝の場所を教えてしまうような「超盲導犬RPG」なのが現在の教育の実態ではないのか。ゆとり教育の弊害とかで学力の低下が叫ばれて久しい。辞書によると学力とは「教育を通じて獲得した能力」のことを指すそうだ。つまり勉強の結果のことである。私は結果に至る前の段階、読んで字のごとく「学ぶ力」が低下しているように思えてならない。学ぶ力とは好奇心であり探求心だ。そしてそれを抑えているのは、簡単に答えを与えてしまう大人なのだ。

『書き直しなさい』と返事をしよう

私が使っているGmailでは、件名と本文の冒頭部分がリスト表示される。冒頭のメールの場合このよう表示される。

林雄司 のすっとぼけた件名のメールと隣り合わせたのは、何という偶然だろうか。
今までの私なら、懇切丁寧に返事を書いただろう。何せ相手は前途有望な学生。それを指導するのは大人としての義務だ。しかし、彼は聞けば誰もが知る有名大学の環境情報学部3年で、「数年後にはたくさんの人々に見てもらえるサイトになるはずです」と大変な自信で豪語しているのだ。彼らの武器は「学生の視点と英語力」だそうだが、英語力の前に最低限の国語力を身につけた方が良いだろうし、「学生の視点」というのが、このような甘ったれたものならば、早々にやめた方が良い。
メールの返事だが、最も良いのは「返事をしない」だろう。常識をわきまえないものは相手にすらしてもらえないことを理解する良い機会だ。しかし彼の『学力』ではそれを理解できないかもしれない。至極甘いと思うが『書き直しなさい』とだけ返事するのが良いように思える。彼に『学力』があるならば、今度はしっかりとしたメールを送ってくるかもしれない。それに期待して。
あなたなら、どう返事しますか?

おまけ:日本の文化@『The Queen's Classroom)』

折角なので『女王の教室』のfansubで日本がどのように伝えられているかを紹介。英語の他にも中国語や韓国語などにも翻訳されているみたい。
評判の良かった「日本のアニメの「いただきます」は英語でどう表現されているか」はこちら
「いただきます・ごちそうさま」こそ日本文化そのもの

いただきます


最近ではもう「いただきます」は無理に訳さずそのまま使うようになっている。
関係ないけど、ワシらの時は給食の時は机を向かい合わせにくっつけてたんだけど、今はこんな風にみんな前向いたまま食ってんの?

ただいま・おかえり


ただいま・おかえりも同じく。

よろしく


「よろしく」と「どうも」は日本文化の極みかも。

号令(起立・礼・着席)


やっぱこれがないと引き締まらないよね。アメリカでも記者会見の時、大統領が入室するときは記者は起立するのに、なんで日本では座ったままなんだろう?

せーのー!


英語人には「Say no! (ノーって言え!)」って聞こえるんやろか?

ファイト!


無数にある日本語英語の一つだね。

ジャニーズ系


ジャニーズだって立派な日本の文化。

クレイジー


1,2,3,4というかけ声にも全部字幕を付ける几帳面な職人。こういったクレージーなヤツがいるから、世界はおもしろいんだ。