新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

不正使用を禁ずる警告を正規ユーザーに対して行う愚行

海賊版拡散キャンペーン

YouTube - 海賊版撲滅キャンペーン
映画館で予告編を見ていると、「海賊版撲滅キャンペーン」のCMが流れる。「映画が汚されていく」と女性が黒い涙を流すアレだ。タダ券もらっても映画館での2時間半が捻出できない状況なので、今でも同じのが流れてるかはわからないけど。
つまりね、映画館に来てる人ってのは、1800円払って2時間半を映画のために費やそうとしてるわけでしょ?行き帰りや食事代のことを考えたら少なくないコストだ。その人に対して、こんなCMを見せようとする精神構造が理解できない。
検索してみたら、同じことをちゃんと映画館に対して抗議している人がいた。


海賊版撲滅キャンペーンのCMが上映直前に流されていますが、即刻やめてください。黒い涙にドクロといった、不快な表現を何故本編直前に流すのですか?わくわくするような映画、感動する映画を期待して観に行った観客はどう思いますか?
安いとはいえないお金を払って、映画と共にある、劇場の音と映像を楽しみに行く観客をあまりに無視した仕打ちです。あのようなCMで不心得者に効果があるとは思いませんし、大多数の一般のお客さんが不快になるだけです。なにをすべきか本気で考えてから実施してください。
一言一句、激しく同意だ。これに対し劇場側はこんな回答しかできていない。

  • MPAってとこが決めたんで、ウチは逆らえない
  • 海賊版の被害を多くの映画ファンに知ってもらいたい

まぁ、こういう意見をちゃんと紹介して回答しているだけでも、この劇場の誠意は伝わるけど。
このCMのおかげで、その存在すら知らなかったイノセントな一般ユーザーの目を海賊版に向けさせることに成功した。このCM以来、「インターネットで映画がダウンロードできるの?」という質問をしばしば受けるようになった人は少なくないだろう。こうして、正規ユーザーに不快な思いをすることを強制し、「海賊版拡散キャンペーン」を自らやってのけたのだ。だって海賊版には不快なCMは入っていないからね。

STUDIO KAMADAの「アンテナ禁止警告」

そもそも私が一連の文章を書くきっかけになったのは、次の警告ソースを見たからだ。

<p style="display:none">(アン テナ と称し て最新の記事 を短いタイ ムラグで全文引用することを禁 止しま す)</p>

アンテナ対策のために途中にスペースを挟んでいるこの一文を格好悪いなぁと思った。そして同時に「display:none」とすることで、アンテナを利用していない「正規ユーザー」には表示されない配慮をしていることに「流石」と感じていた。
ところが、この警告ソースが次のように変更されてしまった。

<div style="color:#cccccc;font-size:14px;font-weight:bold;line-height:21px;margin-bottom:42px;margin-top:42px;text-align:center">
た&#8203;とえア&#8203;ンテナであっても、1つの記事を全文引用して公開することは記事を転載することと同じです。<br>
このページの記事を24時間以下の短いタイムラ&#8203;グで200&#8203;字を超えて無断転載することを禁じ&#8203;ます。
</div

なるほど、実態のない実態参照をすることで、変なスペースはなくなった。でも一般の読者には無意味な警告文を表示されることになり、古いブラウザユーザーは変な画面を見せられることになってしまった。

これはネットスケープ4.7の画面。このユーザーは古いPCと細い回線を使っているから、古いブラウザを画像オフで使っているのだ。
このように、不正使用を禁ずる警告を正規ユーザーに対して行うことは無意味であり、時に正規ユーザーに対し不利益を強いる愚行となってしまう。それにどんな意味があるのか、発することによってどんな反応が予想されるか、を考慮し慎重に行うべきだろう。

参考


●パッケージコンテンツは必要なのか
HD DVDとBDの騒ぎもまだ続いている。既存のCDやDVDの今の状態を見ていると、本当にパッケージメディアの存在が、ぼくらの未来にとってそれほど重要なことなのかという気持ちにさえなってくる。ただ、その問題を解決し、バラ色の未来を提示できるほどには、ネットワークは育っていない。そんなパッケージコンテンツなら「私は見ない、私は買わない」と言われるようになる前に、やることはたくさんあるんじゃないだろうか。