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尼崎福知山線脱線事故:完全自動運転が出来ないのならば、運転手二人体制を

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信じられない映像

最初にテレビで列車の映像を見た時、「地震か?」と思った。我が国の鉄道はとても優秀で滅多なことでは遅れない。そして事故らない。事故っても死人が出ない。先日の中越地震の時でも、新幹線は脱線しながらもけが人を出さなかった。だから死者50人という数字がとても信じられなかった。

複数の「原因」

まだ閉じこめられている人の救出が終わり次第、原因調査が本格化するだろう。これまでに以下のことがわかっている。

  • 前の駅で8メートルオーバーランしバックして到着、1分半の遅れがあったこと。
  • それを取り戻そうとしたのか普段よりも速度が出ていたこと。
  • 運転士は運転歴11ヶ月の23歳だったこと。
  • 前にも100メートルのオーバーランを起こしていること。
  • ATSが旧型で速度制限ができるタイプではなかったこと。
  • 急カーブに義務付けられている脱線防止レールは設置されていなかったこと。
  • レール上に石が砕けたような跡があり、置き石の可能性があること。
  • 車体が軽量タイプで、横からの衝撃に弱かったこと。

いろんな「原因」と思われるものがあり、その全てが「要因」であるだろう。このどれか一つでもなければ、この事故は起きなかったかもしれない。

「主因」

ここでは運転士の過失という面で話をする。これらの情報を繋ぎ合わせると、やはりオーバーランによる遅れを取り戻そうとして運転を誤ったと考えるとが自然だろう。まだ運転歴1年に満たない初心者マーク。またやっちまった。焦り、重圧、混乱。彼は運転できる状態ではなかったに違いない。人間誰でも失敗する。失敗が許されない仕事だからこそ、プレッシャーに潰され失敗する。もしこれが運転手と副運転手の二名体制だったら? 「すみません。落ち着くまで運転代わってください。」たったこれだけでこの事故は防げたかもしれないのだ。鉄道業界は競争が激しく、コストダウンも厳しい。人件費もギリギリまで切りつめられている。だが、安全に関わるコストを削ってよいのか? 完全自動で列車が運行できるならば、それが一番だ。でもそうではない。500名の命を乗せているのは、人間なのだ。少なくとも、まだ経験の浅い運転手の場合は、ベテラン運転手と供に運行して欲しい。お金がかかるというならば、現役を引退した人でもかまわない。ただ一言「焦るな、落ち着け」と声をかけてもらうだけでいいではないか。それで10円運賃が上がるというならば、喜んで払おうじゃないか。安物買いの銭失いどころか、安物買いの命失いをしたいのか?