新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

精神論では何も解決しない


震度5強直下型地震が発生したとの想定で、奈良市が抜き打ちの職員呼び出し訓練を行ったところ、「防災対策会議」開催時間の午前7時までに市役所に出勤した職員はわずか426人(34%)。8時になっても917人(74%)しか集まらなかった。市内104カ所で避難所に指定した小中学校や公民館などでは、同7時までに到着した責任者はゼロだったという。
市防災課は「緊張感が足りないと言われても仕方がない。これを教訓に、職員の防災意識の徹底に努めたい」と話している。同市で抜き打ちの呼び出し訓練をするのは初めてだった。
初めての訓練で3割も集まったのは、そんなに悪い結果だとは思わない。そもそも、本当に災害が起きたら、3割くらいしか集まらないと考えるべきなのだ。非常時なのだから、その時の状況で最善を尽くすべきで、「たられば」を言うのは反則である。
職員全員が防災を専門でやっているわけではない。そういう人たちでも迷うことなく、非常時に動くことができるように、職員証などに最低限の対応マニュアルを掲載し、常時携帯するなどの仕組みが必要だ。奈良市の場合はどうだったのだろうか。そのような工夫もなしに職員に対し「緊張感が足りない」などと言っているのであれば、防災責任者は自分の責任を全うしていない。精神論で物事が動くと考えているならば、戦前に帰るべきだ。